2009年5月28日木曜日

黄海緊張

【ソウル=水沼啓子】北朝鮮が2回目の核実験や短距離ミサイルの発射に加えて韓国との軍事衝突も辞さないとする姿勢を示したことを受けて、米韓連合軍司令部は28日、北朝鮮情報の監視態勢を上から2番目のレベル2に1段階引き上げた。

 これにより偵察機による情報収集や分析要員の増員など北朝鮮を監視する態勢が強化され、南北間の緊張が高まっている。

  韓国国防省報道官によると、28日午前7時15分に引き上げた。監視レベルは5段階で、レベル2は軍事的緊張が高まった場合に適用される。北朝鮮が1回目 の核実験を実施した2006年10月以来のことで、今回で5回目となる。いちばん高い「1」はこれまで発令されたことがない。

 報道官は「北朝鮮の挑発を抑止するため、軍事的な態勢に万全を期している。挑発的な行為は決して容認できないことであり、断固として強力に対応する」と述べた。

 この措置に先立ち、韓国国防省は25日、北朝鮮の核実験実施が明らかになった直後、全軍に警戒態勢を強化し、軍事境界線や黄海上での北朝鮮による軍事的挑発に備えるように指示を出している。

 一方、北朝鮮は27日、韓国が大量破壊兵器拡散防止構想(PSI)への正式参加を決めたことを「宣戦布告と見なす」とし軍事衝突の可能性を示唆する声明を発表した。とくに、声明では黄海上にある韓国領の延坪島など5島の法的地位や周辺海域での米韓艦船などの安全な航海を担保できないと警告した。

北朝鮮は今年1月から、1953年に設定された黄海上の軍事境界線北方限界線(NLL)」を認めないという立場を強調。北朝鮮が海岸部に配備している火砲の訓練回数が増加するなど、黄海上での緊張が高まっていた。

 こうした北の動きに対し、韓国の李相喜国防相は2月に開かれた国会で、黄海で北朝鮮が韓国側の船舶に先制攻撃を加えれば、砲撃した火砲や誘導ミサイルの発射地点に対して反撃を加えると述べるなど、南北間で“前哨戦”がエスカレートしていた。

 黄海上では1999年6月と2002年6月の2回、激しい軍事衝突があった。この時期はワタリガニ漁の最盛期で、この海域では南北それぞれ大量の漁船が操業している。いずれの衝突も漁船を監視する名目で、北朝鮮の警備艇が南下し、韓国の高速艇を先制攻撃したのが原因だ。

 韓国メディアによると、韓国軍はこの海域に駆逐艦1隻を配備したほか、白●(=領の頁を羽の旧字体に)島と延坪島にも対空ミサイルを増強配備し、北朝鮮の火砲攻撃にも備えているという。

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